常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない
労働基準法第89条
かのあはスタッフが4名しかいないので就業規則の作成が義務ではないです。
しかし、日々の情報収集をしている中でとある「絶対やるべきこと」を発見してしまいました!
見つけてしまったらやる以外ない!と一つ一つ情報を集め紐解いていく中で「就業規則」という存在を知りましたが、正直就業規則が何なのかよく知りません。
就業規則を作らなくてもその「絶対にやるべきこと」は他にやりようがあるようなので絶対に作らなければいけないわけではありませんでしたが、少し立ち止まって考えてみたところ、かのあが安心して働いていくことができる職場になることは、ゴリゴリのやる気に満ち溢れた人間が集まり、かのあがゴリゴリプロフェッショナルファンタスティック集団(?)になっていく一つにきっかけになりえると判断しました。
そのために「就業規則」のようなルールが見えるような形にするのもひとつの構築要素として必要だと考え、なかなか疲れましたが、就業規則の案を制作してみました。
これも整理整頓としての改善ですね。
あまりに自分が無知だったことに驚愕しています。世の中ってこういう風になってるんだ、の連続でした
もくじ
今回の内容
- まずは下準備から
- 絶対的必要記載事項
- 相対的必要記載事項
- 頭を悩ませた事項集
- 出来上がったらみんなで確認
まずは下準備から
就業規則という言葉自体が初耳だったレベルで0ベースで作れるはずもないので即刻ググりました。
一発で発見です。
厚生労働省より発行されているモデル就業規則です。 ↓
こいつがあればほぼほぼ出来上がったもんだ、と意気揚々と手を付け始めたのですが一瞬で後悔しました。
なんのこっちゃわからないことがたくさんだ。
となると、そのわからないことを一つ一つググり、理解し、かのあの現状に合った形で構築していきます。
そして、なによりモデル就業規則の説明文の長いこと長いこと。
全部で89ページです。
こいつは難敵だ、と思いながら一つ一つ理解するため読み進めていきます。
この理解していく過程の中で、今まで知らなかったことが山のように出てきて、作り終えてから「やってよかったな~」と思えました。
めんどくさいことにこそ大事なものがありますね。
就業規則の中には質の違う3つの要素を取り扱います。
- 絶対的必要記載事項
- 相対的必要記載事項
- このほか、使用者において任意に記載し得る事項
です。
絶対的必要記載事項とは、必ず記載しなければならない事項。
相対的必要記載事項とは、各事業場内でルールを定める場合には記載しなければならない事項。
上記に当てはまらないものは任意で記載できる事項、の3つです。
それではそれぞれを具体的に見ていきましょう。
絶対的必要記載事項
絶対的必要記載事項は具体的に
- 労働時間関係 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
- 賃金関係 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
- 退職関係退職に関する事項(解雇の事由を含む)
があります。
当たり前に働くうえで何時から何時までが仕事時間だ、休みはこうなってる、給料はこうだ、といったことは必ず記載するべき事項ですね。
当たり前のことです。
難しいのは労働者にとって不利益がないようにしないといけませんし、使用者にとっても不利益がないようにしたいです。
わたくしは完全に労働者ではあるのですが、案を作る係員として中立な立場でかのあを総体としてとらえてみんなにプラスになるように組み上げなければいけません。
かのあのような小さな組織で対立関係なんて作っている場合じゃないんです。
相対的必要記載事項
相対的必要記載事項は具体的に
- 退職手当関係適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
- 臨時の賃金・最低賃金額関係 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額に関する事項
- 費用負担関係 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
- 安全衛生関係 安全及び衛生に関する事項
- 職業訓練関係 職業訓練に関する事項
- 災害補償・業務外の傷病扶助関係 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰・制裁関係 表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
- その他事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項頭を悩ませた事項集
たくさんありますね~。
相対的必要記載事項は必ず記載するべき事項ではないのでモデル就業規則から適宜必要性のないものは省きました。
この省く作業の中で少し世の中が見えてしまい、軽く嫌な気になりました。
基本的に性悪説で組み上げられているんですね。
もちろん、世の中にはいろいろな人がいますからわたくしが世間知らずなだけなのかもしれません。
「そんなことまでわざわざ決めて入れないといけないの?」と?が何度も登場しました。
例えば服務規程の中に(遵守事項)というものがあって、労働者は、以下の事項を守らなければならない、として
- 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。
- 職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。
- 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。
- 会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。
- 在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。
- 酒気を帯びて就業しないこと。
- その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと。
まぁ、わかるやつは「まぁそうだよね」と理解できますが3.とか6.とか正直笑っちゃいました。
専念しないとだめですよ、お酒を飲んだらだめですよって決めないダメなんですかね?
強制的に専念させないといけない仕事、お酒を飲まないとやってられない仕事に就くことってお互いにとって幸せなんでしょうか?
逆に職場を離れることが、お酒を飲むことが仕事をより進めるのに必要だと判断したら迷いなく選択するほうが職場にとって良くないのかな~と感じます。
もちろん仕事中に遊びで酒盛りをするような不届き者を除いてですけどね。
組織と個人はお互いに信頼しあえって生き生き仕事をしていく職場環境にしていたいものです。
頭を悩ませた事項集
一つ目が労働時間と休日です。
かのあを含めガイド業は年間で大きく仕事量に変動がある職場です。
なので、多くのガイド事業者は繁忙期の夏とそれ以外の季節では必要な勤務時間の長さが変わります。
また、休みも曜日で固定はできない、ということで1年単位の変形労働時間制を採用しています。
1年単位の変形労働時間制ってなんぞ?と調べ、通常期間と特定期間を指定し、休日は年間計画で決めてしまう、という形態です。
で、わたくしはあまり休みといっても仕事のことをずっとやってしまう(仕事というかもはや遊び)のであまり関心がありませんでしたが1週間の労働時間の上限と1日の労働時間の上限というのが法律で定められているんですね。
で労働時間によって年間の休みの日数が変わったりするようです。
勉強になります。
そして、変動する勤務時間の平均を出して、年間に休む日数を割り出して・・・となかなか複雑でした。
ルールを整理してみると
- 週1回または例外的に4週間に4回以上の休日
- 週の労働時間は40時間以内
- 1年単位の変形労働時間制では労働日数の限度は280日
の3つを満たしている必要があり、
一日の労働時間 | 年間休日日数 |
7時間(週6日勤務)週休2日制 | 85日※ |
8時間(週5日勤務)完全週休2日制 | 105日 |
といった具合です。
※7時間労働だと計算上は78日の休日になりますが、労働日数の限度である280日ルールで最低でも85日の休日を設定する必要があります。
かのあでは1年単位の変形労働時間制とし、一日の平均労働時間を7時間30分設定し、年間休日日数を87日に設定しました。
二つ目が割増賃金です。
これに関しては結果理解できていません。
計算式は四則演算なのでわかるのですが、その中に刻み込まれる(1か月の平均所定労働時間数)。
なに?w
難しいので絶対に残業は発生させません。
理由は残業代を出したくないのではなく、計算できない(経理失格)からです。
定時になったら絶対に帰りましょう。
というのは半分冗談で、給与計算ソフトに数字を入れれば自分で計算なんてしなくても自動で残業代が計算ができます。
かのあで使っている無料の給与計算ソフトはこちら ↓
#009 フリーウェイ給与計算で給与計算から年末調整まで激楽に!これは絶対か?相対か?相対だとして必要なのか?というのを一つ一つ睨みを利かせて分析し、必要のないものをバスバスカットしましたが、ページ数にして全部で12ページにわたる就業規則規則(案)が完成しました。
なかなかヘビーな仕事となりました。
出来上がったらみんなで確認
完成した就業規則案をみんなで確認します。
当然案なので修正、修正ですね。
そして、いつでも確認できるように共有フォルダに収納しておきます。
鈴木調べでは、10名以下の場合は労働基準監督署に提出しなくても労働基準法では「就業規則に準ずるもの」となり、法的にも有効なものとして扱われるようです。
オンラインでも労働基準監督署に提出することが可能なようなので当初見つけた「絶対にやるべきこと」との兼ね合いで提出するかどうか検討したいと思います。
今回の結果
まだまだ序章にすぎませんので、作ったからといって何かになるわけではありません。
が、ここってどうなっていたんだっけ?をクリアにできたので確認するのにこの就業規則を見ればいいだけにできたのはいいことです。
安心してバキバキに仕事を進めることに集中できる職場環境なら、当然才能あふれる人間が集まってくる・・・かどうかは正直わかりませんが、少なくとも超絶ブラック企業で就職しようと、転職しようと考えている人の選択肢にすら入らない、ということを防ぐことができるのではないでしょうか。
職場もその職場で働く人も、サービスを受ける人もみんながハッピーになれる環境を作っていきたいものです。
これで「絶対にやるべきこと」に向けての準備が終わりました。
「絶対にやるべきこと」に関しては実際に取り組み始めたら改めて記事にしたいと思います。
今回の学び
なにより、世の中のといいますか法律の中の労働に関することを学ぶできたことが個人的には大きいですね。
仕事ってこうなってるんだ、と学んでいる時間は素直に楽しかったです。
あと、アウトドア業界で「給料が安い」とか「仕事がキツイ」とか「人間関係が・・・」とかの話をたびたび耳にします。
何かしら構造上のエラーが発生しているんでしょうね。
まともな給料がもらえて、自分のやりたい表現でサービスを提供して人を幸せにする。
当たり前だけど、それをどう作り上げて実現していくかは結構難易度が高いことです。
まだまだ改善しなければいけないことはたくさんありますので、一気に理想的な状態になることは難しくても、一つ一つ改善していけばきっとたどり着けるはずです。
今日も明日も明後日も、自分ができることをコツコツ進めて改善していきたいと思います。
職場に自由を。自由を「好き勝手やる」ではなく、「自分で考えて動く」って定義したらステキな職場ね。もちろん責任を含めてね