今シーズン大きな変革がありました。
ここ数年かのあでは「キープブルー」という清掃活動を中心とした環境保全活動や「アウトドアクラブ」といった環境教育活動に力点を置いてきました。
そんな中、従来どおりの個人事業主としての活動では限界を感じ始めていたタイミングで、わたくしスズキがかのあにやってまいりました。
「法人を作るって聞いてたけど、どうなった?」
「ん、これから、あとは任せた」
と法人などまったくもって立ち上げたことはありませんでしたが、一般社団法人立ち上げの事務担当者となりました。
やったことないことは学びしかないので楽しいですね~。
現在、ようやく設立手続きがひと段落しました。
これはもう改善というスケールではなく、変革ですが備忘録的に振り返ってみたいと思います。
けっこう地獄的事務手続きでした。もうしばらく法人は立ち上げたくないですw
もくじ
今回の内容
- なぜ一般社団法人を立ち上げたのか?
- 「非営利」型の一般社団法人という選択
- 定款を作る
- 各種書類を作り、集める
- 法務局へ提出する
- 法人が立ち上がってから
なぜ一般社団法人を立ち上げたのか?
かのあは、アウトドアガイド事業として松兄の個人事業主の体制で事業を進めています。
そんな中、一昨年は新型コロナウィルスで不要不急の外出自粛でカヌーツアーを開催することができない中、時間があるならできることを!と実施したクラウドファンディングによるキープクリア(ゴミ拾いを中心とした環境保全活動)、昨年から動き始めた千歳市の子どもたちを対象に月1回実施しているシリーズ型自然体験活動のアウトドアクラブ(環境教育)、普段ダウンリバーのフィールドとして利用している千歳川の清掃活動のリバークリーン(ゴミ拾いの環境保全活動)といった公共性のある活動を行う機会が増えてきました。
なんやかんやありますが、気持ちでガンガン前に進めて絶好調です。
そんな中、松兄(代表)は、限界を感じ始めていたようです。
いちアウトドア事業者という看板でこれらの活動を実施している中で、補助金・助成金に申請するのに法人格の必要性がある、協賛を獲得するといったときに法人格は一つの判断材料になる、といった面で個人事業主としてこれらの活動をより広げていく、という部分が難しくなってきていたようです。
さらに環境保全活動であったり、環境教育活動であったりするこれらの事業は、活動費をいただく場面がありますが、個人事業主での活動では売上としてカウントされ、所得税の対象となります。
となると法人格を獲得し、補助金・助成金の対象になったり、税制面で優遇される形で活動を進めることができると活動をもっと前進させることができると考えました。
そこで第一に選択肢に上がったのがNPO法人の設立です。
調べていく中でNPO法人の立ち上げには多大な労力がかかり、運営していくのも事務処理なども莫大な量となることから現実的に運用がむずかしいと、判断(わたくしが来る前に)しました。
そして次に選択肢に上がったのが一般社団法人という選択です。
「非営利」型の一般社団法人という選択
一般社団法人というのはあまり聞きなじみがない法人格かもしれません。
どういった法人かというと
一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」という法律を根拠に設立される「非営利法人」を言います。
~中略~
一般社団法人は、必ずしも「公益的」な事業を行う必要はありません。一般社団法人が行う事業の内容に制限はなく、株式会社や合同会社などの営利法人と同様に、基本的にはどのような事業でも自由に行うことができます。
~中略~
“ 営利を目的としない = 非営利 ”とは、ボランティアや公益事業を指すわけではありません。「非営利」という言葉には “ 利益を上げてはならない ” というニュアンスも含まれているように勘違いされがちですが、そうではないのです。非営利とは、余剰利益を分配しないことを言います。
https://www.koueki-houjin.net/shadan/
ざっくりいうと一般社団法人は、自由に事業を行うことができる法人格で基本的には株式会社や合同会社と同じです。
株主配当のような形で収益を分配しないという部分が株式会社や合同会社と違います。
一般社団法人はさらに細分化され、「営利型」と「非営利型」に分かれます。
「営利型」の一般社団法人は、ほぼ株式会社や合同会社と同じ形で、収益に対して法人税が課税されていきます。
一方「非営利」型の一般社団法人は収益事業に該当しない収入であれば法人税法上の税制優遇措置を受けることができます。
税優遇を受けることで、収入のすべてを「非営利」型の一般社団法人の活動費に充てることができ、公共性のある事業をどんどん前に進めていくことができます。
こうなったら立ち上げるしかない!と鼻息荒く動き出し、幸い社員(株式会社でいう株主。サラリーマンの社員とは違う。ややこしいw)になってくれる方が無事見つかり、実際に 「非営利」型の一般社団法人 を設立する方向で動き出しました。
これまでかのあが積み上げてきた信頼のたまものですね。
では、「非営利」型の一般社団法人を立ち上げるにはどのような手続きが必要なのでしょうか?
「非営利」型の一般社団法人の定款を作る
「非営利」型の一般社団法人を設立するためには下図のよう2つのパターンがあります ↓
かのあの一般社団法人は赤枠の「①非営利性が徹底された法人」として登記することにしました。
「非営利」型の一般社団法人 を設立するために必要な定款は
上記のようなググって見つけたテンプレートや、近場の一般社団法人を運営している組織に定款を見せてもらったりしてコツコツ作り上げました。
最終的に50条を超える条文が入るという、今まで任意団体レベルの定款は作ったことがありましたが別次元の大変さでした。
定款作りを終えて、続いて申請するための各種書類の作成を行いました。
各種書類を作り、集める
書類の提出先は2つあります。
一つ目が定款を公証人役場で、まずはここで定款の認証をもらいます。
この時に必要だった書類が
- 定款(3部)
- 社員全員分の印鑑証明書
- 実質的支配者となるべき者の申告書(社員全員分)
- 代理人への委任状(社員が全員で公証人役場にいけない場合に全員分)
- 代理人の身分証明書
- 手数料(50,000円+1,500円(4ページ)=51,500円)
とそこそこの量です。
定款が3部あるのは、
- 公証人役場保存
- 法務局提出用
- 保存用
が必要だからです。
ここで進めていく順序を間違え、定款に社員の方々から割印をもらってから公証人役場に定款を確認してもらい、なんと修正点がいくつかあったので定款を印刷しなおして、再び社員全員から割印をもらうという失態を犯しました。
さらに実質的支配者となるべき者の申告書に関しては、まったく把握できていなかったので、こちらも社員の皆様に再度定款に割印をもらうときに同時に印をもらうという手間を取らせてしまいました。
誠にすみませんでした。
書類が無事にそろい、えっちらおっちら公証人役場まで馳せ参じて無事に定款の認証をもらうことができました。
割印は、ホチキス止めした定款が後々入れ替えられないように、ページとページの間に社員全員分の印を押すものです。
さらに、もし万が一修正が必要になった場合のために右上に捨印を全ページに押します。
結果、最後の最後に公証人役場で数文字の修正が必要となり、捨印があったから何とかその場での修正で終えることができました。
世の中ってこういう仕組みになってるんですね。
法務局へ提出する
定款を認証してもらったら続いて2つ目に書類を提出する先の法務局の法人登記部門に書類を送ります。
法務局が札幌にあるので、書類を提出するためだけに札幌に行くのはなんとか避けたい!と調べ、郵送でもOKだと発見しました。
法務局に提出した書類は
- 定款(1部)
- 設立登記申請書(登録免許税60,000円:収入印紙)
- 登記事項
- 設立時代表理事・理事・監事の就任承諾書
- 代表社員の印鑑証明書
- 社印の本人確認書類
- 設立時代表理事選定書
- 印鑑届出書
多いな~今考えても書類多いな~。
これまたググり、申請書の書各テンプレートから書き方まで情報を集めに集めて作成しました。
ここでもやらかしました。
社員の本人確認書類は、免許証であれば両面が必要です。
さらに余白に「本人と相違ない」「氏名」を書く必要がありました。
完全にやらかし、法務局より再提出を指示され、社員の皆様に再び負担をかける形になりました。
何度も何度も社員の方々にはかのあに来ていただいたり、書類を送っていただいたりと迷惑ばかりかけいます。
これは一般社団法人が立ち上がってから挽回する働きをしなければ!
書類を郵送し、しばらくしたら「法人番号指定通知書」が届き、無事に法人が立ち上がりました!
法人が立ち上がってから
法人が立ち上がったら続いてもろもろの手続きをします。
やるべきことは
- 開業届け(市町村)
- 開業届け(都道府県)
- 社会保険手続(年金事務所)
- 労働保険手続(公共職業安定所、労働基準監督署)
- 給与支払事務所等の開設届出書・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(税務署)
- 銀行口座の開設
- クレジットカードの申請
いやはや、関わりのある場所がたくさんですね~。
ようやくすべての書類を提出し終えて、残るは口座開設ができた暁にクレジットカードの発行をするだけのところまで来ました。
まだ少し残っていますが、これでほぼほぼ「非営利」型の一般社団法人としての船出開始!と言っていいでしょう!
今回の結果
なかなか人生で法人を立ち上げることを手掛ける機会もありませんし、大変勉強になりました。
いや、マジで大変だった。
法人設立の手続きを自分で一から調べ、社員の皆様には迷惑をかけながらも何とかやり抜くことができ、無事に法人設立までこぎつけることができ一安心です。
実は「非営利」型の一般社団法人の設立に動き出したのが2021年の6月。
手続きが終わったのが2022年の初頭。
途中カヌーツアーの繁忙期に入り、まったくもってわたくしに余裕がなくなり、随分と時間がかかってしまいましたw
羽陽曲折ありましたが、これで個人事業のカヌーツアーを手掛ける「支笏ガイドハウスかのあ」、そして環境保全、環境教育を行う「一般社団法人かのあ」の両輪で走っていく体制なります。
ぼちぼちググってどうにもならないレベルに突入しそうなので、士業の方の力を借りる日も近そうです。
今回の件もプロに丸投げてしまってもよかったのかもしれませんが、自分たちで苦しみながら立ち上げる方が気合が乗る気がして自分たちの力でやり抜きました。
でも、あまりにもしんどかったので次に何か法人を立ち上げる日が来たら丸投げてやるw
今回の学び
法人設立はスタートラインでしかありません。
これから環境保全活動や環境教育活動をより前に進めていくための足場固めです。
足場は作ったからその上に乗せるものはこれから存分に暴れまわって作り上げていきます。
個人的にはまだまだ一般社団法人を運営していく中で必要な知識が全く追いついていないので基本的なことを勉強しながら突っ走ることになります。
ゆっくりですが着実に前に進み、ゴリゴリに強いかのあになっていきたいです。
地獄的の手続きもワクワクする未来のためならいくらでもやれますね!
ですが、可能であればヘビー案件は適度な間隔が欲しい(切実)