残りの改善 19コ!

#057 ツアーの価値を見定めろ!ニーズと価値を再認識

本日の記事の概要

ゴールデンウィークにトラブルに見舞われたかのあ。

トラブルをスタッフ一同で振り返る中、ニーズと自分たちのツアーの価値とリスクと価格について考え始める。

エントリーツアーである「ブルーカヌー」を「ブルクルージング」に内容を切り替えることでニーズに対して正しいツアーを提供することに繋がり、棚ボタ的にダイナミックプライシングや1ツアーのガイドの収益単価の向上、ツアーの住み分けが適切に行われる結果となり、同時にプライベートカヌーの予約数が増加することとなった。

ニーズに対してツアーの価値と適正なリスク、ガイドのスキル、ニーズ、そして適正な価格を見つけ出すことでより強い組織に一歩近づくことができた。

ありがたいことに大忙しのゴールデンウィークを乗り越え、あれやこれやと事務仕事やら税金やら手続きやらイベントやらで大忙しの日々を乗り越え何とか今日も元気に過ごしています。

久しぶりの記事作成になりました。

ここ1か月なんだかんだいろいろあり、血の通った記事が書けそうです。

それはゴールデンウィークの出来事でした。

ツアー中にとあるトラブルが発生。

我々どもが防ぎようがない領域でのトラブルだったと担当ガイドより後から話を聞きましたが、その時にガイドの動きに関してとても興味深い話を聞くことができました。

ガイドが2名でツアーをご案内していたのですが、そのトラブルの対処、連携が素人であるわたくしが聞いても分かるレベルで最善で、適切で、完璧な、非常に高レベルな対処を行っていました。

パソコンの前いることしかできないわたくしは、ただただ「すげーなw」と感想を述べるだけのプロの仕事です。

そんなことを聞き「ん、これって本当にいいのかな?」そう感じました。

というのもそのツアーは、かのあのツアーの中ではエントリーツアーとして最も多くのお客様をご案内する「ブルーカヌー」というツアー。

料金としては最もリーズナブルな位置づけです。

練習して、資格を取得し、長い時間をかけて得た技術を最もリーズナブルなツアーでいかんなく発揮することが果たして適切なのだろうか?

こうしてツアーの価値と適正なリスク、ガイドのスキル、ニーズ、適正な価格といったことを再考する運びとなりました。

紆余曲折の話し合いと思考の迷路を歩き回り、繁忙期を前に考えがまとまりました。

結論は、技術は安売りしない。

適切なツアーの組み立てを行い、適切な料金で販売していく。

なかなか大変で答えの見えないトンネルのように最初は感じましたが、思考を深めていく中で遠くにうっすら光が見えてきた気がします!

鈴木 悠太
鈴木 悠太

お金から逃げない、と腹の底から決めているので考えている時間はとても楽しかったです!

今回の内容

  • ツアーの価値と適正なリスク、ガイドの技術、ニーズと適正な価格は?
  • お客様が求めているニーズを捉える
  • 結果、棚ボタでダイナミックプライシングを実現

ツアーの価値と適正なリスク、ガイドの技術、ニーズと適正な価格は?

昨年から今年にかけて料金に関していろいろと試行錯誤を開始しました。

まず、昨年は「公式HP割引」というものを設けていましたが、スパッと撤廃。

大人1名さま6,500円が7,500円になります。

これで料金が高すぎればシンプルに予約が入らない。

少しだけ心配でしたが、昨年、一昨年に比べツアーのお申し込みは新型コロナウィルスが落ち着いたタイミングも重なり、多くのご予約を頂戴することができています。

鈴木 悠太
鈴木 悠太

どうやら料金設定としては適正価格の範囲内のようです

ここまではいいのですが、ゴールデンウィークにあったトラブルからさらにツアーの構成についても考える必要が出ました。

もともと夏場は「ブルーカヌー」として基本的にお客様1組2~3名様に1艇のカヌーに乗ってもらい、ガイドはガイドのみでカヌーに乗ってご案内するスタイルをとっていました。

お客様に1艇のカヌーに乗っていたただくのはある程度のリスクがあります。

カヌーに限らずですがカヌー、カヤック、SUPのようなウォーターアクティビティは、遊園地のジェットコースターのように完全にコントロール下にあるものではないのでお客様の動き方によっては転覆するというリスクがある乗り物です。

支笏湖で初めてカヌーに乗る、というお客様をご案内することも多いので年数件ですが転覆するトラブルが発生していました。

こういったリスクがあるからこそ、このスタイルのツアーを行うためにはトラブルに対処できるようになるためにガイドは練習をして技術を身につけ、専門の資格を取得し、ようやくツアーを担当することができるようになります。

鈴木 悠太
鈴木 悠太

なるほど、こういう構造ね

かのあはまじめにスキルを高めることに取り組んでおります。

それはとても大切なことで、とても価値の高いこと。

しかし、一番リーズナブルなツアーを行うのにゴリゴリのスキルが必要になるのがはたして正しいのだろうか?そう考え始めました。

ガイド一同と話し合いを行い、スキルと価値と価格について白熱した議論を行った結果、一つの答えを導き出しました。

お客様が求めているニーズを捉える

答えはリスクを最小限にするためにお客様1組に1艇のカヌーに乗ってもらう「ブルーカヌー」から、カタマランカヌーシステム(カヌーを横に2艇繋ぐ双胴船)を採用した「ブルークルージング」に変更するということに。

カタマランカヌーシステムは、転覆するリスクはほぼ0となります。

今まで当たり前に行っていたツアーを変更するということでいくつかトラブルもあり、各方面に頭を下げる結果となりましたが「ブルークルージングでリスタートをする」と決めた次の日には公式HPやOTAなどの整理を完了し、ツアーの販売を開始しました。

なんたるスピード感、結果これか大正解でした。

鈴木 悠太
鈴木 悠太

Webページを変えるの大変だったな―

とりあえず決まったことは速攻変更して素早く走り出し、走りながらいろいろと考え、改善していきます。

その中で思考が整理され、実はとてつもなく適切で正しい変更だったのではないかと思うようになりました。

それはお客様のニーズ、そしてかのあの他のツアーとの差別化について思考を巡らせていた時です。

まず、お客様のニーズはどういうところにあるのだろうか?と考えたところ、おそらくニーズが大きい順に

ニーズの深さニーズの内容
ライト・水の上から支笏湖の自然に触れ、ガイドに案内してもらいたい
ミドル・カヌーを自分たちで乗り、支笏湖の自然に触れ、ガイドに案内してもらいたい
ヘビー・他に誰もいない状態でガイドに同乗してもらいながらゆっくり支笏湖の自然に触れたい
・他の誰もいない状態でゆっくり自分たちでカヌーに乗りながらガイドに案内してもらいたい

ということなのではないか、と結論しました。

最もニーズが大きいのは「カヌーを自分たちで乗り、支笏湖の自然に触れ、ガイドに案内してもらいたい」という層ではなく「水の上から支笏湖の自然に触れ、ガイドに案内してもらいたい」というニーズなのではないか?

昨年からお客様と接する中でカヌーとカヤックの違いが分かっていないお客様に何度も出会いました。

まったくもってそれで問題はないのですが、ニーズと我々が提供していたお客様1組ごとにカヌーに乗ってもらう「ブルーカヌー」との間にミスマッチが発生していた、ということだったのかもしれません。

多くの方は水の上から「支笏湖の自然に触れ、ガイドに案内してもらいたい」というニーズなのであれば乗り物はツールであり基本的にそこまでこだわらない。

カヌーでもいいし、カヤックでもいい。

この部分を「お客様には1艇のカヌーに乗ってもらうのがあたりまえ」という前提で考え、組み立て、提供していた自分たちが自覚できたのが大きい。

加えて、お客様たちだけでカヌーに乗るというのは価値である、ということも同時に理解できました。

「ブルークルージング」に変更してから何件か「自分たちだけでカヌーに乗りたい」というご希望を耳にしましたのでもちろん、そういったニーズも一定数あるはずです。

しかし、それは価値のあることであるからこそ一番リーズナブルなエントリーツアーで行うべきではありません。

価値を納得して正当な価格で予約を申し込んでくださるお客様に販売していくのが正しい姿です。

こうしてかのあで実施している支笏湖でのツアーを以下の通りに整理するとことができました。

ツアー名カヌー場  所属 性時 間料 金
ブルークルージングカタマラン支笏湖温泉街グループ90分7,500円/大人1名
SotoCafeカヌーツアー1組に1艇美笛キャンプ場グループ150分11,000円/大人1名
プライベートカヌーカタマランor1組に1艇支笏湖温泉街プライベート150分40,000円/1~3名まで

成り行き任せで全然計画性はありませんでしたが、結果とてもバランスの取れた座組となりました。

さらにもう一つ意図しない戦略が動き出しました。

結果、棚ボタでダイナミックプライシング?を実現

上記の図の中段にあるSotoCafeカヌーツアーですが、昨年まで支笏湖温泉街で開催していましたが今年から美笛キャンプ場で開催することになりました。

美笛キャンプ場は市の所有の指定管理者がいる場所で、今年から指定管理者が変更となり、わたくし共は新しく指定管理者となった組織の助っ人としてキャンプ場でカヌーツアーを提供する形となりました。

そこに充てたのが、かのあが事業を開始した当初から実施している歴史あるSotoCafeカヌーツアー。

カヌーツアーの途中に陸地に上陸し、ドリンクやお菓子を食べるCafeタイムを設けるステキなカヌーツアーです。

そのSotoCafeなのですが美笛キャンプ場で開催するにあたりゴールデンウィーク前から開催の準備を行っていましたが紆余曲折あり、ようやく話がまとまって最近になってようやく開催することができるところまでもっていくことができました。

しかし、開催場所である美笛キャンプ場ですが、夏休みシーズンと土日が激込みになります。

その混在解消の改善を行っているとの話を聞いているのですが、指定管理者が変更となったばかりのタイミングということもあり、キャンプ利用者との混乱を避けるためも今年は土日と夏休み期間はSotoCafeカヌーツアーを美笛キャンプ場では開催しない、という結論になりました。

つまり、激込みの繁忙期は消去法的になってしまいますが、「カヌーを自分たちで乗り、支笏湖の自然に触れながらガイドに案内してもらいたい」というニーズに対してはプライベートカヌー(カタマランシステムとソロ艇を選んでもらえる)以外の選択肢を提供できなくなった、ということになります。

これが吉と出るか凶と出るか。

個人的にはプライベートカヌーの予約が大幅に多くなるのではないか、と予想をしています。

予想と言いますか、6月下旬の段階でプライベートカヌーのご予約が昨年一年間でご案内したプライベートカヌーの倍の件数になっています。

新型コロナウィルスが落ち着き、リベンジ消費による旅行欲の増加で、昨年の1.5倍に噂話程度に聞いていましたがまだまだ6月です。

鈴木 悠太
鈴木 悠太

驚きおののいています

狙ったわけではなく、結果そうなっただけですがダイナミックプライシング的な形で繁忙期というニーズが爆上がりする期間には支笏湖の温泉街で提供するツアーは「ブルークルージング」と「プライベートカヌー」の2択になったことから

ブルークルージング
  • 水の上から支笏湖の自然に触れ、ガイドに案内してもらいたい
プライベートカヌー
  • カヌーを自分たちで乗りながら支笏湖の自然に触れ、ガイドに案内してもらいたい
  • 他に誰もいない状態でガイドに同乗してもらいながらゆっくり支笏湖の自然に触れたい
  • 他の誰もいない状態でゆっくり自分たちでカヌーに乗りながらガイドに案内してもらいたい

というそれぞれのニーズに対してお客様が求めているツアーを選択していただき、プライベートカヌーの予約件数が昨年に比べて大幅に多くなっている、ということになっているのではないかと分析しています。

支笏湖におけるウォーターアクティビティニーズは、繁忙期には予約枠を開ければ開けた分だけ予約が入る、ニーズに供給に間に合わないレベルで存在します。

ニーズが高くなると料金が変動するダイナミックプライシングはマーケティングの勉強をしているときに知りましたが、どうやらSotoCafeカヌーツアーが開催することできなくなったことで、ダイナミックプライシング的な形でニーズが高まっているタイミングに価格が上がる、という構造に結果的になりました。

もちろん、今現在から7/15までと9/1~10/21の平日はSotoCafeカヌーツアーを美笛キャンプ場で開催しますので夏休みシーズン以外にどれほど「カヌーを自分たちで乗りながら支笏湖の自然に触れ、ガイドに案内してもらいたい」というニーズがあるかも要チェックです。

ねらい
  • ニーズに対して適切なツアーを提供する
  • ニーズに対して適切なリスクのツアーを組み立てる
  • ニーズに対して適切な料金で提供する

今回の結果

「ブルークルージング」に変更してから複数組が相乗りで同時にご案内する、という変更が発生したので、もしかしたら予約が入らなくてニーズの捉え方を大幅に間違えた、ということになるのかもしれないと一抹の不安がありました。

しかし、現在夏の予約通知は鳴りやまない毎日なのでニーズとツアーはマッチしていた、ということなのではないかと考えています。

また、これも棚ボタでしたが「ブルーカヌー」は、安全管理上ガイドが一度にご案内できるお客様の艇数を1ガイドMAX3艇、2ガイドMAX5艇と制限していました。

すべてが大人2名参加の場合、最大2ガイドで10名を同時にご案内する形です。

これも幸か不幸か昨年、18フィートのカヌーを注文して輸入してもらったのですが出荷元のメーカーが間違って20フィートのカヌーを送ってくるというトラブルが発生しました。

すったもんだあって今年18フィートのカヌーを再び輸入してもらい、20フィートと交換する算段になっていたのですが、ここにきて元々かのあが所有していた20フィートカヌーと新たに間違って届いた20フィートカヌーでカタマランシステムを構築することができ、大人MAX8名まで乗っていただくことができる巨大戦艦が爆誕しました。

そしてこの巨大戦艦が現在大活躍中です。

巨大戦艦1ガイド大人MAX8名+17フィートカヌー1ガイド大人MAX6名=合計14名を同時にご案内することが可能となりました。

このおかげでガイド1名の1ツアーの価値が2021年と比べると

ツアー名最大参加者数単価売上1ガイドあたりの売上
2021年ブルーカヌー大人10名6,500円65,000円32,500円
2022年ブルクルージング大人14名7,500円105,000円52,500円

と1枠2ガイドで4万円も多く稼ぐことが可能となりました。

ということで20フィートカヌーは返却せずに買い取ることにし、毎日多くの笑顔を生み出してくれています。

さらにもうひとつ。

もちろん、新型コロナウィルスがある程度の落ち着きを見せ始めたタイミングだというのもありますが、昨年からコツコツとプライベートカヌーの取り扱いの改善を行っていました。

公式HPやOTAのプラン紹介一覧の一番上に置いてみたり、OTAでもプライベートカヌーの販売を開始してみたり、写真を意図的に選出して特別な思いでを作るといったテーマを設けてみたりと地道にコツコツ改善していたのがここにきてどうやら成果を生みそうです。

かのあで一番おススメで自信があるのはプライベートツアーです!ということが伝わるようなサイトの構築を目指してきました。

ブルークルージングで支笏湖の良い部分をぎゅっと多くの方に短時間でお伝えするブルクルージングもとてもいいツアーです。

ですがガイドが1組のお客様とだけ向き合うことでツアーの質を大幅に向上させることができるプライベートカヌーが最も支笏湖を楽しんでもらうことができるツアーだというのは確信しています。

理想は毎日4~6組をプライベートカヌーでご案内すること。

6/24時点でプライベートツアーの予約が昨年の倍、これから本格的に繁忙期の予約が入ることを考えると2.5~3倍程度に達のかもしれません。

となるとガイドが足りない、という日も複数発生してしまうかもしれません。

うれしい悲鳴です。

この2つのツアーを中心に、千歳川ダウンリバーや美笛キャンプ場SotoCafeカヌーツアー、といったかのあがこれまで培ってきた技術や繋がりから、支笏湖で多くの選択肢を提供できるガイドハウスになったのは、かのあのストロングポイントになりました。

昨年にも増して組織としての強さが確実に前進しております!

今回の学び

特段自分だけで考えて着地した結論ではありませんが、昨年から今年までかのあ一丸となってバキバキに仕事をしてきたからこそ導き出せた結論と謎の幸運。

かのあには幸運の女神が付いているのかもしれません。

間違って届いた20フィートカヌーには感謝しかありません。

少し前にガイド歴20年の方のツアーが大人一人4,000~5,000円と聞いて、本当にそれでいいのかな~うちのガイドメンバーもそういう未来に突き進んでいくのかな~と考えることがありました。

技術を磨き、洗練され、価値が高くなったのであれば適正なツアーを設定し、適正な料金で販売していく。

薄利多売ではない未来が必ずあるはずだと常々考えてきました。

かのあのツアーはめちゃくちゃいい!

なんせレビューを頂戴したときには、自然がきれいだった、だけではなくガイドが親切で―とか、ガイドが丁寧に―などガイドのことを評価していただくことが散見されます。

間違っていない、この道を突き進めばいい。

しっかりと価値のある組織となり、適切な相手に提供して、しっかりと収益を上げて企業活動を継続していく。

値引きではない付加価値をどう作っていけるか、これからも考えてチャレンジしていく必要がある分野です。

#057 ツアーの価値を見定めろ!ニーズと価値を再認識
難 易 度 暗中模索で突き進む!
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費   用 無料
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おススメ度 これは考える価値がある!
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鈴木 悠太
鈴木 悠太

今回の整理はけっこう革命的な整理になりました!ツアーの価値をどんどん上げていこう!

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