昨年、一つ印象的だったことがあります。
それは、繁忙期になるとガイドは一日3ツアーに出動することも当たり前になり、3ツアーを終えて夕方事務所に帰ってきたときにヘロヘロになっているガイドメンバーの顔です。
ツアーには一切出ていかないわたくしですが、想像するだけでも一日3回ツアーのガイドをするのは肉体的にも、精神的にもしんどいのは火を見るよりも明らかです。
その引っ掛かりはずっとありました。
ただ事実として、ガイド業は季節変動が大きく、たくさんの人が支笏湖に遊びに来てくれている時期に多くの方をツアーでご案内して収益を上げなければ、そのような何者かに後ろから追いかけれているような感覚も同時に学びました。
しかし、体を、命を日々削って無理をして仕事をしていくのではどこかで限界が必ずやってきてしまいます。
そうじゃない未来を作れるはずだ、というのは常々頭の中にありました。
そして、ゴールデンウィークをきっかけにツアーの価値と価格、リスク、ニーズに関することを整理し、一定の手ごたえを手にしました。
ツアーの価値とリスク、ニーズ、価格に関する記事はこちら ↓
#057 ツアーの価値を見定めろ!ニーズと価値を再認識その手ごたえを得たことで覚悟を決めたことがあります。
収益を無限に求めるのではない未来を迎えに行こう。
そのために一つ大きな決断をしました。
それによって得たものもあれば失ったものもあります。
本当にこれでよかったかは、現段階では分かりませんが死ぬ気で考えて導き出した一つのチャレンジです。
あとはこの選択が正しかった、という結果にするためにできることを全力でやるだけ。
悩みに悩んで結論を出し、その結論にもいまだに苦悩しているウラカタ職員のドキュメンタリーです。
本当に大丈夫か?といまだに悩んでおります
もくじ
今回の内容
- しっかりと収益を上げる、は大前提!
- 情熱と幸運の先に決めたこと
- 失うものもある、でも腹を決める
- 確保した時間を何に使うか?
しっかりと収益を上げる、は大前提!
人が生きていくためにはお金が必要です。
組織を継続していくためにもお金が必要です。
そう考えるとどうしても売り上げを伸ばすことに気が行ってしまいます。
新型コロナウィルスのような不測の事態など想像すればいくらでも思いついてしまう現代で、この不安はどこまで行ってもぬぐえません。
加えてガイドには季節変動による繁忙期の仕事量の激増以外に給料が相対的に低い、という問題もあります。
現実問題、年収200~300万円じゃあ、結婚してこどもを持つことも難しい。
少なくともガイド1名あたり年収400万円以上は目指したい。
組織を継続していくために売り上げを立てなければいけなく、ガイドがしっかりとした給料を手できて長く働くことができる職場を目指したい、そこに繁忙期に疲弊しながら命を削らせたくない、というダブルミーニングに真っ向からぶつかっていくことを決めました。
これはなかなかの難問だ・・・
遠くの未来と数字ばかり見ているばかりではどうしたらいいかわからなくなってしまうので、まずは手元の数字を足し算して考えることにしました。
まず、かのあのハッピー売上はいくらだろう?
ハッピー売上とは、組織を継続していくために、そこで働く自分たちが生きていくのに必要な売上と利益を年間で算出し、それを季節変動で均して一日にいくら稼ぐことができたら組織としてハッピーか?と分解していく作業。
ここがとても重要なポイントだったと思います。
組織を継続していくために必要な税金を含めた経費、ガイドが手にする給料、そして組織の残しておくべきお金、収益の最大化や生産効率の向上をするための投資に必要なお金、というのをすべてはじき出して算出しました。
そこからはじき出された理想的な金額は年間4,000万円。
一気に4,000万円にジャンプアップするのは難しいので、段階的にまずは3,300万円を目指すことにします。
そして求めるべきツアー売上(その他収入は置いておいて)を一日に換算して算出していくと、繁忙期2か月25万/日、準繁忙期2か月15万/日、通常期2か月10万/日、それ以外の閑散期6か月2万/日、これがかのあのハッピー売上となり、ここが目指すべき一つの目安となります。
これでその他収入と合わせて3,500~4,000万円が具体的に見えてきます。
情熱と幸運の先に決めたこと
具体的な数字の目標が見えてきたので、続いてこれを再現するためにどうすればいいのか?を考え始めることができます。
今シーズン、紆余曲折あり、みんなで悩みに悩んで「ブルーカヌー」を「ブルークルージング」に変更しました。
その時の記事はこちら ↓
#057 ツアーの価値を見定めろ!ニーズと価値を再認識ラッキーパンチでしたが、ガイド1ツアーあたりの単価がアップに繋がりました。
そしてもう一ついい流れとして昨年より、体験観光として短時間で多くの方をご案内するスタイルで本当にいいのだろうか?という議論はたびたびかのあの中でおこなっていた中で、世の中の流れが変わっているのをわたくしスズキは見逃しませんでした。
プライベートカヌーの需要が大幅に上がっている。
おそらく新型コロナウィルスによって行動の制限があり、その反動で旅行したときは思いっきり楽しもう、という機運が高まっているのではないかと推測しています。
我々としてもゆっくりと一組のお客様とガイドが向き合うことができるプライベートカヌーツアーこそ優先して取り組みたいツアーだ、と自覚しました。
それに気が付いてからHPのツアーイチ覧ページの最上段にプライベートカヌーツアーを配置して「一番自信のあるツアーです!」と位置づけたり、OTAにプライベートカヌーツアーを掲載していなかったことからページを作成し掲載を開始してみたり、という準備を粛々と進めてきました。
そうしたところ2022年のゴールデンウィークは、例年よりもプライベートカヌーツアーの申込が多かった、という結果を手にしました!
この結果を携えて勝負に出ることができます。
失うものもある、でも腹を決める
- ブルークルージングによるガイド1ツアーの単価アップ
- プライベートカヌーツアーの需要増
この二つの改善と仮説を獲得したことでゴールデンウィーク明けに腹を決めました。
ガイドは一日2回のツアーまでを担当し、それ以上ツアーに出なければいけなくなるツアーは需要があろうと問答無用で予約を閉める。
もちろん、ガイドに一日3回ツアーに出てもらうと売り上げはもっと簡単に上げることができるのは目に見えています。
おそらく目標とする4000万円も無理のない目標になるのかもしれません。
しかし、そんなわかりきったことを、無理を押し殺しながら組織が疲弊しているのを眺めて手にすることには何の意味もありません。
無理をガイドに押し付けないで、正しい未来に向かって知恵を振り絞り、仮説・検証を繰り返し、ダメかもしれないという恐ろしさを背負いながらチャレンジして是が非でも乗り越えるべき目標として4000万円を目指す。
ここ一年、お店番をずっとしながら、毎日脳ミソから煙を出しながら導いた結論です。
そして、これを実現するために予約管理のルールを作りました。
昨年までは、ツアーは先着順で埋まっていき、ガイドがすべてどのツアーに出るかが決まった段階で消去法的に開催できないツアーが決まり、予約を閉め切っていました。
この部分を改善し、ガイドの休みを勘定して
出勤ガイド数 | ブルークルージング | プライベートカヌー | SotoCafe&ダウンリバー |
1~2名 | 〇 | 〇 | ✖ |
3名~ | 〇 | 〇 | 〇 |
といった形で優先して受けるツアーを決め、ガイド数に応じて開催できないツアーを作る、というルールを作成しました。
ブルークルージングでの単価アップに加え、プライベートカヌーを軸として組み立て収益をしっかりと上げていく。
一日に開催するツアーの回数が減るのであれば、お客様の単価を上げるしかないという、当たり前と言えば当たり前の結論に終着し、紆余曲折あって幸運にもそのシステムを作ることができました。
ルールを決めて運用を開始しましたが、これがまたシンプルなようでなかなか予約管理が複雑で、予約を受けすぎて一日3ツアーに出てもらう日も何日か出てしまっています。
シンプルにわたくしのミスです。
そんな時は「アイスポイント」を3ツアー出たガイドに進呈し、そのガイドが「今日だ!」という日にツアーがすべて終わってからみんなでアイスを食べ、かのあはアイスを食べたらすべてがチャラになる優しくファンタジーな世界とする、と(わたしが)決めましたw
アイスポイントは3ポイントたまると支笏湖チップに、5ポイントで千歳バーガーに、10ポイントで日帰り温泉に、となぜか充実したポイントアップシステムになりました(これはミスしていいってことか?w)
さて、確保した時間を何に使うか?
ガイドは一日に最大2回のツアーまでしか担当をしなくなるとどういった変化が起こるのでしょうか?
どう考えても一日に2~3時間程度自由な時間が確保されます。
その時間をのんべんだらりと過ごしていては意味がありません。
ガイドそれぞれが「かのあのために何をすればいいのか?」を自ら考えて取り組む時間を確保する時間の使い方ができると最高です。
ポストイットで有名な3M社では、15%カルチャーという「就業時間の一部を、自分の興味関心に従って自由に使うことができる」というシステムがあります。
Googleも3M社を見習って20%ルールを設けているそうです。
やらなければいけない時間ではなく、やりたいことをやる時間。
さて、そんな時間が確保されたらガイドはどのような時間の使い方をするようになのでしょうか?
自ら新しいプロジェクトを立ち上げるかもしれませんし、もっと売上が伸びる秘訣を思いついて実行できるかもしれません。
さて、どのような変化がかのあの中に起こるか・・・要チェックです!
今回の結果
まだまだ勝負は始まったばかりです。
今年一年は大きな大きな勝負の年となります。
昨年、一昨年と新型コロナウィルスで人の動きが制限されていた中でなんとかかんとか乗り越えてきました。
今年は予約の動きを見る限り、2019年に引けを取らない予約の入り方をしています。
うれしい悲鳴で現在、土日になると(やはり旅は土日にゆっくり調べたり申し込みをするみたいですね)予約管理作業で天手古舞になるほどの予約を頂戴しながら、おおよその夏の流れが見えてきました。
もちろんまだまだ新型コロナウィルスで動きが制限される可能性も大いにありますし、天候というアウトドア事業にとには切っても切り離せない重要な変数もありますので確信は持てませんが、このままいけば繁忙期のハッピー売上を乗り越えることができるのではないか?と淡い期待が持てる状況となります。
これは夢物語なんかじゃない、しっかりとした手の届く目標だ。
今回の学び
持続的にアウトドア事業を経営していくためには何が必要だろうか?
もちろんガイドとしてのスキルも重要だろう。
楽しく仕事をしていくことも大切だろう。
だけどお金が無くなったら事業は継続できない。
仕事を続けることができない。
アウトドア業界を見ていると給料が安くて仕事を続けられない、という話も聞くし、仕事が辛すぎて転職する、という話も耳にする。
わたくしは強欲だから好きなことに打ち込んでスキルを高めながら楽しく無理なく仕事をして、しっかりとした給料を手にしつつ、参加してくれた人を幸せにした対価をしっかりともらいながら事業を末永く継続していく、そんな職場を作る未来を手に入れたいな~と心の底から考えています。
まだまだわたくしの未熟さ故、改善できる部分は山のようにあるけれども、勤続1年、ようやく勝負に出る準備が整いました。
この勝負に必ず勝ち、堀を深め、確固たる経営基盤を構築する。
なによりわたくしがこういったことに集中できるのは、ガイドメンバーが本当にいいツアーをしているからにほかなりません。
胸を張って「うちのツアーに参加して!めっちゃいいよ!」と売り込むことができるのは、ツアーから帰ってきたお客様の笑顔を山のように見てきたから。
かのあは大丈夫だ。
必死に考えて、力技でもいいから何とかして、スピーディーに動いて結果を出すことができる組織だ。
繁忙期を目前に俄然やる気が爆発しそうなウラカタ職員スズキからのご報告でした!
ようやく夏の気配を感じながら今日もパソコンの前でうなり声をあげていますwキチーぜ