うれしいことに2023年の夏は忙しい毎日を送っておりましたが、本州の夏休みシーズンも終わったようで、ぼちぼちスーパー繁忙期も終わりを迎えました。
繁忙期はやはり忙しいですね~そして今年は北海道もめちゃくちゃ暑い!
アウトドアガイド事業は、ニーズの季節変動が非常に大きなお仕事です。
夏はウォーターアクティビティニーズが高く、春・秋・冬はニーズが低い。
一年を標準化した一般的な出勤体制にした場合
- 支笏湖のウォーターアクティビティニーズが高い時期に出勤ガイドが少ない状態では、ニーズを受け止めることが出来ず収益を伸びない
- 支笏湖のウォーターアクティビティニーズが少ない時期にガイドがたくさんいる状態で、ニーズがないので収益は伸びない
といったことになってしまいます。
そこでかのあでは変形労働時間制を採用し、
- 支笏湖のウォーターアクティビティニーズが高い時期に出勤ガイドを厚くし、ニーズを受け止め収益を伸ばす
- 支笏湖のウォーターアクティビティニーズが少ない時期にガイドの休みを取得する
といった体制に改善しました。
ここで大切なのは支笏湖のウォーターアクティビティのニーズの把握です。
このニーズの把握がトンチンカンでは収益の最大化は実現できません。
ニーズの把握がなかなか大変でビクビクでした
そして、収益を上げることが出来ればガイド一人一人の休みの数を増やすことができる。
ない袖は振れないですからね
収益の実現と休みの増加。
このダブルバインドを実現するために2023年のシフト体制を計画するときに、支笏湖のウォーターアクティビティニーズに合わせた出勤体制を綿密に推測し、しっかりとした収益を上げることを前提としたうえでのシフト作成に取り組みました。
本記事では、春~秋にかけた支笏湖のウォーターアクティビティニーズに合わせたガイドの出勤体制、加えて年間休日105日を実現した労働環境の改善をご紹介したいと思います!
給料UPだけではなく、休日増も長く働いていくことが出来る職場環境の実現のためには必須項目ですね!
もくじ
今回の内容
- 変形労働時間制とは?
- 労働基準法ギリギリの年間休日87日
- 支笏湖のウォーターアクティビティニーズを捉える
- 最適な出勤体制を構築し、年間休日105日を実現
- 義務化した有給休暇もお忘れなく
変形労働時間制とは?
労働者は労働基準法で守られています。
労働基準法を守らない組織はシンプルなブラック企業ですね。
ブラック・ダメ・絶対
変形労働時間制とは、一定期間を平均して労働時間が週40時間以内であれば、特定の日や週について法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
1日の労働時間を自由に設定できるだけでなく、月・年・週単位それぞれでの労働時間の設定をおこなうことができ、支笏湖のウォーターアクティビティニーズに合わせた柔軟な労働環境の実現が可能になります。
変形労働時間制には、
- 1年単位の変形労働時間制
- 1ヶ月単位の変形労働時間制
- 1週間単位の変形労働時間制
の3つのパターンが存在します。
かのあでは「1年単位の変形労働時間制」を採用しました。
休日については、年間休日数を最低でも87日間を設ける必要があります。
労働基準法ギリギリの年間休日87日
2021年、2022年のかのあの年間休日は87日でした。
87日間の根拠は
1日の所定労働時間を一定とした場合、1週平均40時間をクリアするための1日の所定労働時 間と年間休日日数の関係は次のようになります。
ただし、次の式による計算結果の小数点以下は切り上げて休日日数を算出します。
一年単位の変形労働時間制導入の手引き
2021年と2022年は、所定労働時間を7時間30分に設定して労働基準法ギリギリの87日を選択しました。
一年間ずっと所定労働時間を7時間30分にしていたわけではなく、一年間の中で繁忙期を8時間に、閑散期を7時間に設定して、年平均を7時間30分にしました。
下の年間休日カレンダーは、1年単位の変形労働時間制を活用して、1日の所定労働時間を業務が閑散な通常期間(ここでは、平成○年4月、5月、7月、8月、11月、12月、平成○年1月、3月とします。)は8時間、業務が繁忙な特定期間(ここでは、平成○年6月、9月、10月、平成○年2月とします。)は8時間30分とし、年間休日を111日とすることにより、週40時間労働制を実施する場合の規定例です。
起算日を4月1日とし、休日については色で染めた日とします。
モデル就業規則 厚生労働省労働基準局監督課
新型コロナウィルスで不要不急の外出が制限されていた2021年と2022年。
ギリギリの情勢の中で、なんとかかんとか収益を上げるのに必死でしたので休みは最小限にして歯を食いしばって乗り越えました。
2022年に新型コロナウィルスの状況がある程度落ち着きを見せ始め、北海道LOVE割などの行政による旅行支援策によってゲストの数の増加傾向を確認。
2023年は今まで押さえつけられていた旅行ニーズが復調を見せる兆しがある、といった推察から2022年秋に2023年のガイド出勤シフトの作成を開始ししました。
支笏湖のウォーターアクティビティニーズを捉える
今回のミッションは
- ガイドの年間休日を105日に
- そのうえで収益増
という完全なるダブルバインド。
本当にいけるかな?
まずは事実を集め、実現可能かの試算を開始します。
2022年の予約結果をもとに、支笏湖のウォーターアクティビティニーズを整理しました。
企業秘密?な部分もあるのかな~と思うので一部だけですが、予約数から必要ガイド数を導き出し、1年分を算出してみました。
黄色の部分は繁忙期認定した日程です。
画像お伝えできるのは、ゴールデンウィークはもちろん繁忙期認定にふさわしい予約状況だった、ということ。
これを一年分作成し、全体を俯瞰して観察、そして導き出した支笏湖のウォーターアクティビティニーズは
時期 | 必要ガイド数(平日) | 必要ガイド数(土・日・祝) |
1/1-4/28 | 1G | 1G |
4/29-5/8 | 3~4G | 3~4G |
5/9-7/22 | 2G | 3G |
7/23-8/31 | 3~4G | 3~4G |
9/1-25 | 3G | 3~4G |
9/26-10/23 | 2G | 3~4G |
10/24-11/14 | 1G | 2G |
11/15-12/31 | 1G | 1G |
もちろん毎年土・日・祝は変わるので大まかな目安となりますが、だいたい上記のような支笏湖のウォーターアクティビティニーズがあると認識しました。
実際に今年の予約状況を見ながら多少微修正を行いましたが概ね上記でだいたい正解でした!
あとはこのニーズを満たしながら春・秋に休みを増やしたシフトを作成してみて休日を増やす、というのが実現可能かが見えてきます。
最適な出勤体制を構築し、年間休日105日を実現
6~9月を繁忙期として休みを6~7日に。
それ以外の10~5月を閑散期として休みを設定したところ下図のような休みの配分になりました。
これで年間休日105日を確保。
あとはシフト管理に使っているラインワークスに入力していきます。
もちろん土日は予約が入りやすいのでガイドの休日は平日が多くなりますが、今年は新加入スタッフ入り、ガイド数を増やすことが出来たので土日もぼちぼち休める体制を構築できました。
家族がいるガイドは、今しかないこの時間を家族と過ごせるように夏休みシーズンに土日休みを取得する体制をとりました。楽しそうな家族旅行の写真を見てニヤニヤするスズキw
【おまけ:ラインワークスは設備管理ができるので予約オーバー対策にも効果的ですよ~】
#035 ラインワークスの設備機能でリソース管理!もちろん休みの数を決定し、シフトを作成するだけなら別に誰でもできます。
はてさて、実際の収益に関しては…本記事の後半にある「今回の結果」で!
義務化した有給休暇の取得もお忘れなく
休日などを調べる中で発見した有給休暇の義務化。
2019年4月から、労働基準法の改正により有給休暇の取得が義務化されました。年に10日以上の有給休暇が付与されている労働者には、必ず5日取得させなければいけません(労働基準法第39条7)
有給休暇の5日取得義務化とは?│ 概要や違反した際の罰則について解説
もともと天候が大荒れした日などは
よし、今日は休み!
みたいなことはままありましたが、明確に意図をもって有給取得を推進している状態ではありませんでした。
もちろん繁忙期に自由気ままに取得してもらえるほど、現状のかのあに強さはありませんが、それでも5日は義務で絶対取ってもらうとしてそれ以外にもちゃんと有給が取得できる、取得しやすい職場環境の構築は働きやすい職場環境の実現には必須で目指すべきステージです。
さらに繁忙期の疲れが見え始めるタイミングで予約のガイド必要数と出勤ガイド数に差があり、誰か休めることが分かったタイミングで順次有給を取得して休んでもらうチャレンジも行いました。
誰が休むかは公平・公正の観点からオンラインあみだくじで決めます。
こういったときのユーモアは大事ねw
もちろん、有給を取得した人から次のオンラインあみだくじからは除外し、最終的にみんな取れるようにします。
今シーズンもぼちぼちみんな5日前後は現時点で取得しているのでいい感じです。
さて、2023年の収益はいかに…?
今回の結果
さて、休みを増やすだけならやろうと思えばいつでもどこでも誰でもできますが、その結果の収益はどうなったかというと…
8月現在、2023年は過去最高だった2022年を大きく更新する見込みです!!
私の推測がドンズバで大ハマりしました。
シーズン中にイレギュラーな団体が入ったりしない限り、休みをずらすことなく、想定通り、いや想定以上に予約がしっかりと入り、明確に収益が伸びました。
ガイドの休みを87日から105日と18日増やして、です。
もちろんガイドが1名新加入したのでその分売り上げが伸びるのは当たり前ですが、ガイドが1名増員した以上の結果が出ています。
もちろん新型コロナウィルスで抑圧されていた旅行ニーズが爆発した、というのも要因の一つです。
そういった大きく人が動くタイミングで、その支笏湖のウォーターアクティビティニーズを逃すことなくガイドという資源を最大限効果的に活用して、有効的に稼働し、生産性が大幅にアップできました。
まだまだ最終結果は出ておりませんが、結構びっくりするぐらいの伸び率…
休みを増やして収益が伸びる、これ以上望めないぐらいの結果です。
ただ待っていてもこれらを実現することはできませんでした。
これらを実現にもっていくためにあーだこーだ考え、様々な可能性を模索し、チャレンジして、結果を出す。
2023年の大きな勝負にまた一つ勝ち星をあげることが出来ました!
今回の学び
前職では労務などは事務職員の方が行ってくれていたので全く制度自体を知りませんでしたが、現職で0から労務のことを調べ働きやすい環境構築の実現のためにあくせく改善を進めてきました。
アウトドアガイド事業はやりがい搾取構造になりやすい業態です。
なぜそうなるか?
それはやはり収益があげられないことに起因します。
ない袖は振れない(パート2)
やりたいことをやっているから給料が低くてもいいでしょ?
そんなことは絶対にありえません。
やりたいことをやり続けるために収益から逃げいてはその事業に未来はありません。
収益を何が何でも上げて、労働環境を整えて、やりたいことをやり続けられる環境を作る。
そのために毎日頭を悩ませています。
わたくしは、ここから逃げる気など毛頭ありません。
かのあで働いていて幸せだ、そうガイドが感じれる環境を作り上げるために、これからもあーだこーだ改善を推し進めていく所存でございます。
選択と集中、生産性を上げる、あたりは死ぬ気で考えて何とか実現していくことこそに価値がある。