もうあれやこれや、色々とやりまくっておりまして、現状を理解するのが困難になってきております。
まぁ、頑張っている証拠でしょうかね
最近は、一度立ち止まってデータと睨めっこをしているのですが、今シーズンなんだかいい感じです。
具体的には公式HPの流入が昨年に比べ大幅に伸びております。
反面、OTAからの送客はパッタリ。
こねくり回して公式が増えるための施策をやりまくっててよかった!
軽〜く2024年7月17日現在の公式とOTAの割合をご紹介すると、
公式 | OTA | |
2024 | 93.1% | 6.9% |
2023 | 79.3% | 20.7% |
2022 | 62.3% | 37.7% |
2019 | 64% | 36% |
といった結果となっています。
昨年から公式からの予約を増やしていく施策をエンジン全開で開始しました。
#068 OTAは後払い広告!OTAと適切な関係で手数料削減大作戦! #074 予約流入経路と手数料の解像度を上げる!今年は80%台に乗ってくれたらいいな〜と思っていたところ、公式が93%という驚くべき数字をただ叩き出しています。
その上で、売上も順調に昨年と同じ〜少し伸びる程度の着地予想です。
ある程度公式を伸ばす気満々ではありましたが、計算違いでOTAから予約がシンプルに入らない。
もちろん公式の予約自体が伸びていますが、OTAの割合が大幅に減り、それに伴い公式の割合が爆増した、という状態になっています。
よかった〜と思いつつ、何もしてなかったら公式も減ってOTAも減る、っている未来が待ってた?
正直OTAに関しては、ある程度ツアー紹介ページを作り終えてしまえば、やることがありません。
あとはOTAがリスティング広告やSNS広告の営業をかけてくれるのを祈るばかり。
アウトドアアクティビティ事業の肝である「集客」を、外部に委託し切って何もしない、はとてつもないリスクであると以前から問題意識を持っていました。
OTAにとって我々事業者は、送客できて手数料がもらえれば御の字、送客できなかったとしてもまた別の収益源を作ればいい。
最近のOTAの動きを見る限り、動物園や水族館、遊園地などのパークのチケットや、レンタカーのアフィリエイトなど、各社それぞれ収益を上げるべくアクティビティ以外の販路拡大に注力しているようですね。
ビジネスですから。まぁそんなもんですよね
逆に言えば、公式から予約が入る体制さえ確固たるものにできれば、OTAから予約が入ればラッキー、で恐いものなしの無双状態へ。
加えて、マーケターであると同時に予約管理スタッフでもあるウラカタ職員スズキにとって、OTAの割合が減ってくれるのは、予約管理としては両手をあげて喜べる事案です。
カレンダーと在庫を突合する地獄作業が大幅に減ってニンマリ。
全スズキが涙したサイトコントローラーActimのサービス終了で絶望しながらの開幕となった2024年。なんと今年が一番楽ちんです。
さて、前段が長くなりましたが、公式予約を増やすために行った施策の数々。
「これが刺さった」と結論できないのが歯痒いですが、おそらく複合的にポジティブな影響が出て今の結果がある、と考えています。
そして、刺さったと思われる施策の一つ「MEO対策」。
スタートは2023年の4月、苫小牧にあるサウナの中で思いつきました。
今回は、「MEO対策」に取り組んだ改善の整理とその結果をご紹介します!
もくじ
今回の内容
- MEO対策とは?
- ツアー終わりにレビューお願いカードの配布
- コツコツ積み重ねてきた信頼
- MEO対策で上位表示される本質的なレビューと写真
MEO対策とは?
MEOとは、Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略称で、主に地図アプリ(特にGoogleマップ)での検索結果において上位表示されるよう、様々な最適化施策を行い、店舗集客を向上させることを目的としています。
MEO対策では、Googleマップに直接登録するのではなく、Googleビジネスプロフィールというものに登録することで、そのGoogleビジネスプロフィールがGoogleマップに表示されるようになる、といった構造になります。
マーケティングを勉強する前から、公式HP、OTAなどのツアー販売ページを作る一環で、Googleビジネスプロフィールの整理を進めていました。
Googleビジネスプロフィールでのやることは至ってシンプル。
- プロフィールの設定(ビジネス名、カテゴリ、説明、開業日、ウェブサイト、ソーシャルプロフィール、所在地とエリア、サービス提供地域、営業時間、決済方法、設備)
- 写真の挿入
- アクティビティの設定
- 商品を編集
- サービスの編集
- 予約の設定
といった項目をチャチャっと入力して終わりです。
20分ぐらいあれば完了する程度の作業量です。該当しない項目などはスルーも可
誰でも彼でも作成することができてしまうので、公式情報であるという証明のために、ビジネスオーナーの確認を取る必要があります。
審査がありますが、まぁ当然のことですが、虚偽の申請ではないので手順に従って行えば淡々と登録完了。
日々の更新などは特段やっておりませんが、思い出した時に写真を入れ替える、といったことをやればいいだけなので作業負担としては非常に軽微です。
さて、登録自体は非常に簡単で、しかも無料なので店舗型のビジネスを行なっているのであれば取り組むのが当たり前ではありますが、登録して終わりではありません。
この登録した上で、Googleマップで検索された際に上位に表示されるために対策を取るのが「MEO対策」です。
しかし、登録時点でやれることはほぼやり終えています。
唯一上位表示に大きく影響するもの。
それが「Googleレビュー」となります。
ツアー終わりにレビューお願いカードの配布
以前、Googleレビューに関して記事にしました。
#069 レビューは組織の輪郭を表す!ツアー終わりにレビューお願いカードの配布!その時は、集客で悩みに悩んだ結果、ゲストがツアーに申し込む際に必要な要素として「信頼」があると考えました。
どの業態でも同じですが、全く知らないラーメン屋さんに入る時に、入るかどうかの判断材料の一つとしてレビューがあります。
それは食べログかもしれませんし、Googleマップかもしれません。
アウトドア事業で言えば、OTAが食べログと同じ役割を担っています。
OTAでレビューを集め信頼を勝ち取るというのも一つの選択肢でしたが、公式からの予約を増やす必要性を感じていたところだったので、公式HPに集めるレビューでもなく(いくらでも操作ができるので客観性が担保できない)、OTAに集めるレビューでもなく、第三者的なフラットな立ち位置にあるGoogleレビューを集めることで、客観的な、信頼のできる評価になり得る、という結論に至りました。
取り組んだ内容としては、レビューお願いカードを作成し、ツアー終了後に参加してくださったゲストに感謝を伝えつつ渡すというシンプルなもの。
カードにはレビューを書き込むページのQRを印刷していて、作成方法は、Googleビジネスプロフィールの「クチコミを読む」をクリック。
続いて「クチコミを増やす」をクリック。
赤く塗りつぶしている場所にリンクのURLが出てきます。
これをコピーして、「QRのススメ」というサイトでQRコード化。
QR化したデータを使って、ラクスルで名刺印刷のカードを注文すれば完了です。
カードのデザインを変えたらレビュー率に影響が出たりするのかな?と最初は最小ロットで注文していくつか試してみましたが、あまり変化はなさそうだったので、一気に1,000枚印刷し、ツアー終わりに渡せるように常に受付に配置。
ツアー終わりにコツコツ配布しています。
コツコツ積み重ねてきた信頼
2023年4月のMEO対策(Googleレビュー対策)開始時は、Googleレビュー(77件)⭐︎4.7からスタートしました。
そこからコツコツ1件1件レビューお願いカードを配り、2023年の9ヶ月で+83件。
2024年は(160件)からスタートし、7月29日現在で(211件)⭐︎4.8、7ヶ月で+51件となっています。
内訳としては、
- ☆ 1件
- ☆☆ 1件
- ☆☆☆ 4件
- ☆☆☆☆ 16件
- ☆☆☆☆☆ 189件
レビューが入るたびに届く通知を確認して、日付を含めてコツコツカウントしています。
2023 | レビュー確率 |
---|---|
4月 | 6.84% |
5月 | 5.41% |
6月 | 4.72% |
7月 | 3.04% |
8月 | 5.45% |
9月 | 4.37% |
10月 | 3.68% |
計 | 4.68% |
2024 | レビュー確率 |
---|---|
1月 | 17.24% |
2月 | 5.66% |
3月 | 6.81% |
4月 | 8.00% |
5月 | 3.95% |
6月 | 3.68% |
レビュー確率は、レビュー件数と参加件数からその割合を算出し、ガイドがツアーの満足度を上げることができているか?を捉えるための指標になりそうだと考えて記録しています。
MEO対策で上位表示される本質的なレビューと写真
ここで間違えてしまいたくないのが、レビューの数が多ければいいのか?という点です。
もちろん多いに越したことはありません。
が、私が考えるにどうやら「こと」はそんなにシンプルではありません。
おそらく日本のアウトドア事業所に勤めている人間で、最も日本全国のアクティビティ事業所のレビューに目を通していると自負している私が考えているのが、件数も大切な要素ではありますが、それよりも大切なのが内容の「質」です。
#067 地雷はどこだ!?Googleレビューを全国調査してみた!【おまけ:スズキ調べ!全国アウトドア事業所Googleレビュー件数ランキングトップ10!】ここからはある程度、想像や推測になってしまいますが、ガイドとゲストがウェットな関係値まで仲良くなって付き合いでレビューを書いてくれたり、書いて書いてとお願いしまくったり、ポリシー違反だと思いますが何かしらのインセンティブを提供した上でレビューを投稿してもらう、といった場合によくあるのが
「楽しかったです!」
のような一言で終わる短文レビュー。
もちろん⭐︎に関しては5をつけてもらえたりもしますし、シンプルにそういう感想だった、そういうタイプの人だったパターンも考えられますが、レビューとしての内容が「あまりない」パターンが散見されるようになると感じています。
これが、GiveしてGiveしてGiveした先でもらえたレビューは
「このような状況で・こんなことをして・ガイドはこうで・こういう感想だった」
のような、内容が具体的であり、なぜそういう感想に至ったかを克明に記録してくれるパターンが多いように感じます。
Giveに関してはこちらの記事を参照のこと↓
#077 Give!Give!Give!でツアーの満足度が上がって売上アップ?こういった「質」のレビューは、レビューを見ている人にとっても非常に有益です。
実際にツアーに参加するのを検討している人にとって、具体的なイメージの助けになるレビューは非常に有益になります。
Amazonでアイテムを買う時も同様ですよね
加えて、現状のかのあのレビューを見る限り、写真を一緒に投稿してくれる可能性が高いようにも感じています。
この点に関しても、Giveの表の理由で「ステキな思い出をたくさん残してもらいたい!」という考えから、2023年から携帯防水ケースを有料レンタルから無料レンタルに切り替えました。
実は「SNSに投稿してくれたら嬉しいな〜」という下心もありありでしたが、どうやらその下心が花開いたのかもしれません。
ほかの事業所でよく見る「写真無料プレゼント」としてガイドがツアー中に写真を撮影してツアー終わりに渡すパターンだと、自然の写真などはあまりなく(あるのかも知れませんが)、ゲストを中心とした記念撮影の類の写真が多くなってしまうのではないでしょうか。
その点、自分たちの記念写真をネットにアップするのには少し抵抗がある人も、自分で撮影した自然の写真、綺麗だなと思ったタイミングの写真であれば気軽にアップすることが可能です。
そして、Googleの立場で考えてもやはりこれらの「質の高い内容」や「写真付き」といったレビューが多い事業所が有益であると評価するのが当然ではないかと考えられます。
加えて、レビュー内容の「キーワード」も当然のように分析しているのではないかと思います。
例えば、「カヌー」という「キーワード」が入っているレビューが多いのであれば「北海道 カヌー」で検索している人にとって有益な情報になり得るので上位表示されやすい、といった具合です。
これはSEO対策でも同じですが、いくらたくさんの人に見られているページであっても、離脱率が高い、閲覧時間が極端に短いページは評価されません。
なぜなら、そのページが検索者の知りたい情報やお困りごとを解決している可能性が極端に低い(逆にYahoo!知恵袋のように端的に問題解決してくれるページもありますけどね。それらはおそらくページの種類やトピックによって評価基準が違うアルゴリズムが動いているのでしょう)と考えられるからです。
それであれば、離脱率が低くそのページ以降に新たに検索して探しに行かない、じっくりと長い時間見てもらえるページを評価して、そのようなページを上位に表示する、というのが検索サイトとして合理的な構造なのではないでしょうか。
MEO対策もSEO対策と同じ思想であるならば、Googleマップで上位に表示される事業所というのは、それを選んだ人が満足のいく結果になる確率が高い事業所を上位に表示する、といったアルゴリズムであると考えるのが自然です。
そう考えると、レビューの「質の高い内容」や「写真付き」が多いレビューの事業所が上位表示れるということになるのではないでしょうか。
実際の例として「沖縄 カヌー」で検索してみました。
極力パーソナライズされていない検索情報を見るために、Googleの設定を位置情報オフ・シークレットモードにしています。
まずはPCで検索です。
上位2つがリスティング広告、たびらいが検索順位としては1位、以下アソビュー、じゃらんと続きます。
そして沖楽、再びたびらいが来てGoogleマップという順番です。
いや〜沖縄のGoogleレビューの数はいつ見てもえげつない。かのあの10倍のほぼ2000じゃないですか。やはりアクティビティ激戦区はレベルが違います。
で、いつもPCばかりいじっているのであまり気にしていませんでしたが、かのあのGoogleアナリティクスを確認する限り、現在では大多数の人がスマホで検索しています。
それではスマホで検索した同じキーワード「沖縄 カヌー」の結果を見てみましょう。
なんと検索順位1位のたびらい、の次がGoogleマップになっているではありませんか!?
マップの次がアソビュー、じゃらん、他の人はこちらも検索の窓があり沖楽となっています。
検索順位は同じようですね。
マップの方も確認したらこちらの順位もPCと同じ。
ほんの数日前まではSEO対策で上位表示に躍起になっていたのですが、世界はどうやら随分と違った作りになっていました。
PCでの検索とスマホでの検索では表示に違いがある。
そして、検索順位が仮に1位〜3位に入っていたとしても、その上位にGoogleマップが来る、というパターンが存在するようです。
今回の結果
2023年時点では、レビューが集まる→予約が増える、という程度の解像度。
レビューが100件を超えたあたりから、ガイドがゲストに「かのあをどのようにして知りましたか?」という会話の中でレビューを見て、といった回答があった報告をちらほら聞くようになりました。
予約が爆増したか?という問いにはまだ回答できるほどデータを集めることができていません(最近ようやく収集し始めました)が、これが予約が増えた!ではない、目で見える結果を発見しました!
「北海道 カヌー」をPCで検索します。
北海道と随分と大きな括りでの検索ですが、じゃらん、アソビューときてGoogleマップが出ます。
そしてそのGoogleマップの最上位にかのあの姿が!
スマホでも確認です。
スマホに至っては最上位にGoogleマップが!
尚且つ、かのあが最上段です!
これは少なくとも「かのあ」の名前は認知してもらえる状態と言えます。
ついでに「北海道 カヤック」でも検索です。
まずはPCから。
こちらは、じゃらん、アソビュー、アクティビティジャパンと来てGoogleマップです。
そして、カヤックでありながら「かのあ」が一番上に鎮座。
かのあのHPにはカヤックの文字はほぼありませんが、おそらくGoogleレビューでゲストがカヌーとカヤックを間違えているために引っかかっていると思われます。
スマホはどうでしょう?
スマホはやっぱりGoogleマップが一番上です!
そして、マップ内でも一番上に「かのあ」があります。
コツコツ、本当にコツコツレビューを集め、尚且つゲストに満足してもらう「いいツアー」にこだわり続けた結果が身を結んだと言っていいでしょう!
今回の学び
正直MEO対策に関して、レビューがポジティブな影響があるのはなんとなく理解はしていましたが、結果に関しては全くノーマークでした。
PCとスマホでの表示の違い、「北海道 カヌー」「北海道 カヤック」という大きな括りで表示順が一番上。
「北海道 カヌー」の月間検索ボリュームが880、「北海道 カヤック」の月間検索ボリュームが390、合計1270ユーザーの顕在顧客に対して、どこで検索しているかにもよりますが、事前に旅程を考えている場合でも、北海道にきてから検索していた場合でも、新千歳空港に降り立つ&降りたっている可能性が一番高い。
支笏湖に立ち寄る、も選択肢としては多いにありえそうです。
これらが予約に関してどのような影響が出ているかがわかるのはもう少し先ですが、とりあえず全員でコツコツやってきたところが結果に繋がっているのは喜ばしい限りです。
もちろん、オーガニックで検索1位を獲得したり、リスティング広告で最上段を抑えるということができれば、よりダイレクトに予約にポジティブな影響が出るのは明白ですが、何よりMEO対策自体は無料です。
SEO対策でこれらのキーワードで上位表示するようにするのは並大抵ではありません。
OTAめっちゃ強い
設定も短時間、レビューお願いカードも数千円、あとはいいツアーをしてカードを配布するだけ。
力技とはいえ、小さな労力とコストでとりあえず上位に食い込むことができるMEO対策は非常にコスパの良い施策となります。
もちろんこれを実現するためには「いいツアー」をしている、というのが大前提ですけれどもね。
これは一勝と言っていいのではないでしょうか!
結局は積み上げてきたもの、覚悟が可視化された結果な気がします。本気で事業を続けていくのであればMEO対策は必須のお作法になるでしょうね。