グリーンシーズンが過ぎ去り、葉もどんどん落ち、気温も下がって寂しい秋を感じながら静かな日々を送っております。
こういうタイミングはじっくりと今年の成果と向き合うのにとてもいいタイミングです。
今年はいくつか大きめの改善に着手し、ある程度の成果を手に入れることが出来ました。
例えばこの事前決済100%の結果発表 ↓
#073 2023年の改善の目玉!事前決済100%はどういう結末を迎えたか!?今回の記事も同様の結果発表系で、OTAについて改善を行い、手数料の削減効果について考え始めたのですが、どうやら前回の事前決済100%とも連動する形で「手数料」の解像度が上がりました。
楽しくて7~8時間ぶっ続けでこれについて整理と思考をしてしまいましたw
おそらくですが事業所の状況によって対応する方法はフェーズごとに変わるのではないかと思いますが、かのあの現状を踏まえた最適解に近づいているのではないかと思っております。
今回は
#068 OTAは後払い広告!OTAと適切な関係で手数料削減大作戦!の結果報告と共に予約流入経路、手数料、事前決済100%といったあたりが関係する部分の解像度を上げるべく本記事で整理していきます!
もくじ
今回の内容
- 予約流入経路の割合は?
- 手数料には2つの種類”予約”手数料と”決済”手数料そして広告料
- ”OTA”予約から”公式”予約に移行する意味
予約流入経路の割合は?
結果報告の前に、支笏ガイドハウスかのあの予約経路をまずは見てみましょう。
予約経路を大きく分類すると
- ”公式”予約
- ”OTA”予約
の2つに分類することが出来ます。
”公式”予約は、直接ゲストから予約が入ってくる流入経路です。
ここには当日飛込、旅行会社などが含まれています。
こちらはケースによりますが、予約管理に対する手数料が発生します。
”OTA”予約は、じゃらんやアソビュー、アクティビティジャパン、たびらいなどを経由して予約が入る経路で、こちらも手数料が発生します。
予約管理に関する手数料は5%前後ですが、OTAの手数料の相場がだいたい15%前後です。
手数料のことだけを考えればもちろん”公式”予約の方がいいのは明らかです。
しかし、事業開始当初は”公式”予約が入ってくる”公式”HPのSEOパワーが弱く、”公式”予約がバンバン入ってくる、という状況を作ることが困難です。
そこで、”OTA”予約で各OTAが持っているSEOパワーの力を借りて多くの人の目に入る状況を作り、そこから予約を確保していくということが必要となります。
最初は”公式”HPには実施件数やレビューといったものが蓄積されていないわけですから、スタートはある程度OTAの力を借りるのが最適解です。
そこでコツコツ実績を積み上げ、レビューや”公式”HPのSEO対策、資格取得、店舗確保といった施策を実施して信頼を獲得していく必要があります。
レビューに関しての考察の記事はこちら ↓
#069 レビューは組織の輪郭を表す!ツアー終わりにレビューお願いカードの配布! #067 地雷はどこだ!?Googleレビューを全国調査してみた!【おまけ:スズキ調べ!全国アウトドア事業所Googleレビュー件数ランキングトップ10!】これらの改善をしないといつまでたっても”OTA”予約の力が必要な一番左のフェーズのままになってしまいます
かのあの状況を分析するに、現在はおそらく真ん中のフェーズなのではないかと考えました。
これを今年は一番右のフェーズに移行することが出来るのではないか?と考え、大きめのチャレンジを行いました!
詳細の記事はこちら ↓
#068 OTAは後払い広告!OTAと適切な関係で手数料削減大作戦!まず大前提としてその地域にアクティビティニーズがある、というのが必要です。
上記の図は2019年~2023年までの予約申し日を一日ごとにカウントして1月1日は合計〇件、1月2日には合計〇件のように支笏湖のアクティビティニーズの動きを見るために集計した図となります。
もちろん夏場がニーズが一番高く、そのちょっと前に一番予約がバンバン入る時期になっている、というのが読み解けます。
このバンバン予約が入るニーズがある、というのが最低限”OTA”予約の割合を”公式”予約に移していくのに必要な条件になりそうです
ニーズがある、ニーズが作れたことが確認できた今年は
ゴールデンウィークに小さく実験し、ある程度の確信を得たうえで繁忙期は思い切ってOTAの販売を中止してみました。
過去の情報を計算してデータにしたところ
- 当日~1週間前が一番予約が入りやすい
- 1週間前~2週間前がその次に入りやすい
- 予約全体の約半数は2週間以内に入る
考察:ガンガン予約が入るのは直前、といったデータはすでに手に入れて確信
仮説:スーパー繁忙期は、2週間前より早い段階で予約枠が埋まり始めて残枠5以下になった場合、OTAの予約枠のみ〆て、公式HPからの予約に限定しても定員に達する可能性が非常に高いのでは?
まずはゴールデンウィークで実験!
実験方法
①予約残枠が5以下になったらOTAを〆る
②〆た残枠が埋まるかどうかを確認
③残1は入る可能性を上げるためOTA販売再開
といった小さな実験です。
そして仮説のとおりに2週間前より早い段階で予約枠が埋まり始め、残枠5以下になった枠のOTAの予約枠のみ〆て、ほぼ残りの枠は”公式”予約のみで埋めることが出来ました!
結構ドキドキしたけど無事突破!
そしてこの小さな成功を手にスーパー繁忙期はOTAを販売しないと判断した2023年シーズンの予約割合の結果がこちらです!
公式予約を12.55%増やすことに成功し、トータルで”公式”予約は約75%にすることができました!
おそらく昨年も同様のことをしていたら割合は大きく変わったかと思われます。
繁忙期はツアーの空きができた場合、販売したらすぐに新しい予約が入る、という時期ですのでOTAのSEO力を借りる必要がないのはある程度感覚的にわかっていました。
それでも
もしかして予約が入らなかったら売上大幅減だぞ…
という恐怖がありました。
いろいろと考えた結果、小さな実験を経てえいやと思い切って2023年は繁忙期はOTAの販売を中止したことで、大きな成果を得ることが出来ました!
ですが、よくよく確認していくと、手数料に関しては81,971円増えているではありませんか!
なんでかな~と考えていった結果、問題が無いことを確認。
昨年は「その他」が23.6%ありましたが、これが今年は8.92%になっています。
この「その他」が減った要因として、
- 電話予約の廃止
- 当日予約フォームを12:30まで販売
- 前日などの事前来店の場合は公式HPの予約フォームで予約してもらう
- 旅行会社からの弱いパッケージツアー予約が減少
- 近隣ホテルからの紹介販売を中止
というあたりが「その他」の減少要因となりそうです。
こういったものは一つ一つは小さな工数でしたが、すべてが集まると大きな労力が必要でした。
生産性向上のもと、このあたりをバスバス改善していき基本的に”公式”予約に集約した結果、「その他」の割合が減少した、ということになりそうなのでむしろ大幅な前進です。
この「その他」が手数料は払っていなかったけれども大きく時間と労力を取られていたものが無くなり、その分”公式”予約の手数料が増えた、という結論となるので問題ありません。
とこことまでは手数料が増えた以外は想定通りでしたが、
こちらの記事を作成していた時には気づいていなかったことがありました!
手数料には2つの種類”予約”手数料と”決済”手数料そして広告料
手数料を目の敵にしていたのですが、その相手のことをわたくしはあまり理解することが出来ていませんでした。
今回OTAの手数料を削減する思惑で改善に取り組んでいたのですが、これが大きな間違えでした。
手数料には
- ”予約”手数料
- ”決済”手数料
の2つが存在しているではありませんか!
そして”OTA”予約はこの”予約”手数料、”決済”手数料に加えて広告料が乗っかっている形となります。
前回作成した記事の
#073 2023年の改善の目玉!事前決済100%はどういう結末を迎えたか!?では、主に決済手数料に関して考察をしました。
で決済手数料をさらに解像度を上げていくと2022年は決済方法が24パターンもありました。
手数料マックスがじゃらん、アソビューからの予約で当日決済が選択され、クレジットカードで決済された場合、18.24%が手数料として発生します。
これが”予約”手数料と”決済”手数料の合わせ技の実際の手数料です。
これに加えて消費税なども払っていくとなると一生懸命汗を流しているガイドがツアーで上げる収益が手残りとしてどんどんススメの涙に!
これを2023年の通常期は
の6パターンに限定。
そして2023年の繁忙期は
2パターンにまで限定しました。
本当はそとあそびも閉めたいところですが、ウラカタの仕様上分離して設定することが出来いので結果繁忙期もそとあそびのみ販売を継続した形となります。
これによって”決済”手数料としては
-296,769円の削減に成功しました。
同時に予約割合が公式が増えたことによってOTAの広告料も自動的に削減することが出来ています。
これらを一つの画像にまとめると
といった結果となり、トータルの手数料削減額は-214,798円となり、さらに”公式”予約の割合を+12.55%にすることが出来ました!
21万円というのはスタッフ1名分の月給に相当し、ツアー自体は昨年と同じように受け入れている中で手数料を削減できるのはシンプルに生産性アップに繋がります。
”OTA”予約から”公式”予約に移行する意味
もし仮に明日から”OTA”予約の手数料率(”予約”手数料と広告料)を20%にしまーす、と言われた場合どうしましょう?
2022年のままだった場合の試算として、およそ50~70万円程度の手数料が増える計算になります。
これが2023年の売上ベースで考えればもっと大きくなります。
20%と言われたとして集客がOTA頼みだった場合はその条件を飲み込む以外にありません。
だってOTAの力が無いと売り上げが立たないからどうしようもありませんもんね
それって相当なリスクなのではないかと思っております。
自分たちの事業所の手綱を外部に持たれる状況は辛すぎます。
だからこそ最初はOTAのSEOの集客力の力を借りる必要があるとしても、必ずその割合をコントロールしていく必要性が出てきます。
そして、もし仮に「ことしから手数料を上げまーす」とOTAに言われた場合に、「それなら取引するのを止めるかな」という選択肢が常にあるかどうか、はとても大切です。
手数料をコントロールできる、年間の目標売上を達成できる、そういう状態になるからこそ、
よし、ここの1か月はツアーをやらないでおこう
といった判断をすることができ、その時間を使って社会によりよい価値を作る時間を確保するのもよし、来年以降に予約が入るための施策に時間を使うのもよし、という時間の使い方をすることが出来ます。
今回の結果
ドキドキしながら毎日予約状況を確認していましたが、無事にOTAの販売を絞って手数料を削減したうえで過去最大の売り上げをたたき出すことが出来ました。
効果としては手数料の削減のみではなく、そこにかけていた作業時間(OTAの予約は”公式”予約より工数が多い)の短縮にも大きく寄与してくれています。
手数料が下がり、作業時間が短縮され、なおかつ売上の最大化に成功。
おそらくこれ以上の結果はないのではないか、と感じるぐらい大きな成果を手にすることが出来ました。
今年はドキドキしっぱなしだったけど、来年以降は今年のデータがあるのである程度余裕を持って構えていけそうです!
そして、この結果があったからこそ次にやるべきことが明確になり、後はそれをズンズン進めていけばもう少し結果を上向きにできるということを理解できたので、これからコソコソ取り組んでいきます。
今回の学び
ロジックと覚悟。
物事があまりにも複雑すぎて身動きが取れないことに往々にして直面します。
「めんどくせーな」とブツブツぼやきながら、絡まった糸を一つ一つ解いていき、一つ一つロジックを積み重ね、絡まった糸を解くために最後は小さな実験に取り組み、うっすらと勝ち筋が見えてきたうえで最後は「目標を絶対に突破するという覚悟」でえいやと飛び込み結果を得る。
これは我ながらなかなかいい仕事でした。
個人的には石橋をたたいて渡るタイプなのでなかなか思い切ることが出来ないですね
ビビっているからこそめちゃくちゃ調べるし、めちゃくちゃ考える。
こういった小さな成功体験ができるのはとてもありがたいことです。
アウトドア事業の解像度がより明確になりました。
まだまだ考えるべきことがたくさんあるので、一つ一つ絡まった糸をほどきながらより最適を目指していきたいと思います。
転職してから真剣に足掻いた甲斐がありました。もうちょっと進めそうです