アウトドア事業の最適化を探して、もうどれぐらいの改善に取り組んできたかよくわからなくなってきました。
うん、あと少しで業務の最適化は終わりかな・・・
と、ぼーっとしている時に思えるぐらい生産性は爆上がりしていると自負しております。
とはいえ、日々新しいテクノロジーが誕生し、我々のような小さな事業所でも活用できるぐらいのリーズナブルな価格帯で新しいテクノロジーが使われたサービスが提供されています。
あとは何個かの穴を埋める作業が残されているかな
といったところかと思っています。
今回の改善は、ツアー開始時に記入してもらう同意書(受付書)。
元々は、同意書を印刷した紙にボールペンで記入して貰う、というレガシースタイルでツアーを開始していました。
古き良きレガシースタイルである紙に記入してもらうタイプの受付から、2024年からスマホでQRコードを読み取ってもらい入力してもらうフォーム式の受付にバージョンアップしました。
きっかけは、2023年の秋に訪れた沖縄旅行。
アクティビティのメッカの沖縄の情報収集のために訪れた際に、アクティビティの同意書がQRコードで読み取るフォーム形式だったことから
これはすぐに取り入れないと!
と、サクッと採用。
実際にフォームを構築し、その運用する中で改良して、
あ〜これは紙には戻れない。便利すぎる!
と絶対にQRコードで読み取るフォーム形式が最適解であることが明らかでした。
今回は、同意書を紙からQRコードで読み取るフォーム形式に切り替えた改善をご紹介!
もくじ
今回の内容
- 同意書の役割
- Googleフォームで作成、QRコードの作成
- メリット・デメリット
同意書の役割
まずは、同意書の役割を整理するところから。
同意書は、なんのために記入して貰うのか?というとツアーに参加されるゲストとはツアーという商品の売買契約を締結することになります。
その契約の際に、契約内容として事前に理解して貰うべき項目を伝え、承諾してもらう。
そのために同意書に記入や入力してもらいます。
役割としては売買契約内容の説明だけではなく、傷害保険に必要な各種情報を提供して貰う、という役割もあります。
以前から、最悪のパターンで事故が発生した際に同意書は法的効果はない、といったことも聞いたことがあったのですが、今一度調べてみたところ
同意書は掲げる事項について確かに同意した、という事を証明する役割があり法的にも拘束力のある「証拠」となります。
・・・・中略・・・・
同意書に決まった様式などがあるわけではありません。
必要となる項目を抑えられているかがポイントとなります。
以下のような項目が確認すべきポイントとなります。
・同意書の件名
・同意した日付
・同意した本人(代理人)の氏名や住所、押印
・同意した内容
と、法的な効果はある形です。
確認するべき項目の中に「同意した本人(代理人)の氏名や住所、押印」というのがあります。
以前、手術のために入院した際に書きまくって押しまくった記憶あり
押印は貰えないなーと思っているのですが、これまた調べてみたところ、同意書には印鑑を押すのが一般的ではあるようですが、
同意書に印鑑は必須ではありません。印鑑がなくてもそれだけで違法になるなどの問題は起こりません。
と印は必須ではなく、ある方がベター、ということのようです。
また、傷害保険を契約している保険会社にQRコードで読み取るフォーム形式で問題が無いか?を確認したところ「必要な情報があれば形式は問わない」という回答をもらいました。
ということで、紙でなければならない理由はなく、QRコードで読み取るフォーム形式でも同意書としては問題がない、という結論に至りました。
Googleフォームで作成、QRコードの作成
では実際にフォームを作成していきます。
沖縄で見たフォームは全てGoogleフォームでした。
今回新たにフォームを作成するということで、一応有料のフォームのサービスも検討しましたが、1件いくら、という契約が多く、年間何千件と使用することになるので、コストとして難しい。
フォーム選定の中で必要な機能として「タイムスタンプ」というのがありました。
タイムスタンプとは
タイムスタンプとは、電子文書が改ざんされていない、原本であることを証明する技術です。タイムスタンプは、第三者機関であるTSA(Time-Stamping Authority:時刻認証業務認定事業者)が発行するため、発行後の変更や書類の有無を隠すことができません。
そのため、電子文書にタイムスタンプが付与されると、付与された時刻に書類が存在していたことや、付与時刻以降は書類が変更されていないことが証明されます。
Googleフォームは、無料ですがこの「タイムスタンプ」機能があります。
ということでGoogleフォーム問題がないと確認し、Googleフォームで作成することとしました。
今思い返すと一番最初に作成した初期型フォームはは、色々と不備がありました。
その都度改良を重ねて現在では
- お名前:記述式
- 性別:ラジオボタン
- 生年月日(年):プルダウン
- 生年月日(月):プルダウン
- 生年月日(日):プルダウン
- 年齢:プルダウン
- 郵便番号:記述式
- 住所:記述式
- 電話番号(未予約の方のみ):記述式
- メールアドレス(未予約の方のみ):記述式
を入力項目として設定しています。
生年月日が(年)(月)(日)に分かれているのは、Googleフォームにテンプレートとして設定されている日付を使ってみたところ、昔の日付に遡る際にとてつもない移動が必要で信じられないぐらい時間がかかるのが明らかだったため、(年)(月)(日)をそれぞれ独立した形式をとっています。
同意内容としては
- 安全なツアーのために:チェックボックス
- 当日の自然条件:チェックボックス
- 参加条件と身体に関する留意事項:チェックボックス
- 個人情報:チェックボックス
- 国立公園内の自然保護:チェックボックス
その他、説明として
- ライフジャケットとパドル:チェックボックス
- レンタル品:チェックボックス
- お荷物と貴重品などの管理:チェックボックス
- ポケットは空っぽに:チェックボックス
- トイレは事前に済ませておきましょう:チェックボックス
といったトピックで構成しています。
上記項目に加え
- 中学生以下の同伴するお子様はいらっしゃいますか?
という選択肢で「いる」「いない」で分岐する構造になっています。
ここで作成したフォームは、右上にある「送信」を選択し、リンクマークをクリックするとURLが発行されます。
このURLをコピーして無料でQRコードを作成することができる「QRのススメ」というサイトでQR化。
「さっそく作る」というところにURLを入力して、「作成する」というボタンを押すだけで簡単にQRコードの作成完了です。
あとは、このQRコードを印刷し、掲示すれば受付で使用することができるようになります。
メリット・デメリット
それでは、実際に紙からQRコードで読み取るフォーム形式に変更した上で感じたメリット・デメリットを。
まずはメリットから。
シンプルに、紙の同意書に比べ、情報量の調整が非常に楽になりました。
紙の場合、紙面に制限があったために画像などは使用していませんでしたが、フォームの場合は自由に、好きなだけ画像の挿入ができるので、テキストだけではなく、写真を使ってより多くの具体的な情報を伝えることができるようになりました。
これは、「よくある注意事項」や「よく聞かれる質問」をこの同意書の時点で伝え、回答するということが出来る点で非常に有効で、現在大きな効果を発揮してくれています。
今までは受付で「あ、ビーチサンダルだ」と確認して声掛けをする、たまに声掛けを忘れる、といった構造的な欠陥がありましたが、同意書で伝えることができるために声掛けをする必要も、伝え忘れるリスクもなくなり、スタッフの作業負担軽減に繋がります。
この辺りの「よくある注意事項」や「よく聞かれる質問」は季節によっても変わってくるのですが、フォームの場合、画像を入れ替えるだけで対応可能、という非常に簡単に管理ができる点も大きいです。
また、昨年までは「サンダルがあった方がツアー楽しめますよー」といった営業を口頭で行なっていました。
それが、同意書というツアーに参加される方全員が目にする部分に、レンタル品の情報を掲載しておくことによってシステムとして自動的に営業がかけられ、クロスセルでの売上アップが見込めます。
加えて、経費削減という点でも紙からフォームに切り替えた効果がありました。
同意書を紙で管理することが無くなったので、同意書の印刷費(インク代)、ボールペン代、紙の保管のスペース的なコストがなくなります。
最後に、ウルトラCの技の発明が。
遅刻してしまうゲストがごく少数ですが、いらっしゃいます。
現在は、事前決済100%にしているためノーショーが構造的に発生しないですので、遅刻してしまったら当日キャンセル100%で終了です。
#063 予約は事前決済100%に!作業負担の軽減とトラブル回避だ! #073 2023年の改善の目玉!事前決済100%はどういう結末を迎えたか!?大幅に遅れてしまったらどうしようもありませんが、多くが集合時間10分前に設定しているところ「ツアースタート時間に到着しそうです!」といったパターンが多いです。
しっかりと、そして何度も遅刻したらツアーに参加できませんと予約段階で伝えているので、ツアースタート時間に遅れたら問答無用で当日キャンセルでも構造としてはいいのですが、せっかく楽しみにわざわざ遠い支笏湖まで来てくれているので、なんとかツアーに参加してもらいたい。
そこで発明したのが、遅刻しそうな方から連絡が入ったら、メールで受付のQRコードを送るという技です。
移動中に同意書の入力しておいてもらい、「ツアー当日の流れ」のページのURLを同時に送って最短でお店に来てもらう。
「ツアー当日の流れ」に関してはこちらのページで解説しています。
#076 公式HPの「機能」に関するこだわり!予約が増えて作業が減るサイト作りこれで遅刻時でもツアーに参加できる可能性が少し上がります。
このように、紙の同意書からフォームに切り替えたことでいい事尽くしです!
では、続いでデメリットを。
ごく少数ですが、高齢者のゲストが拒否反応を示す、といった点が挙げられます。
これに関しては、ある程度仕方がない部分がありますし、おそらく紙時代も拒否反応を示していたけれども、記入に関しては精神的な負担がフォーム入力に比べ少なかったことで顕在化していなかっただけだと考えています。
また、どうしてもスマホで入力が難しい場合もありますが、そういったイレギュラーの時用に念の為に紙の同意書も準備しています。
さらに稀にスマートフォンを持ってきていないゲストがいる場合もあります。
その際は、お連れ様の端末で入力してもらったり、端末自体を貸し出したりして対応しています。
メリットに比べデメリットは非常に軽微です。
どう考えてもフォームでの同意書一択なのではないでしょうか!
今回の結果
今回の改善は、結構クリーンヒットだったと感じています。
こういった変化をするのには、やはり情報収集をし、実施してからも改善を繰り返すという労力が発生して色々と大変です。
しかし、その労力をゆうに上回る余りあるメリットが今回の改善にはありました。
特に、ビーチサンダルを履いてきているゲストを見つける、レンタル品借りませんかーと営業をする、といった気を張っていないといけない部分をシステムに置き換えて、削減することが出来るようになったのは非常に大きい成果です。
また、遅刻の方にQRコードを送って事前に同意書を入力してもらう、を思いついたときはなかなかの「アハ」体験でした。
紙では絶対に不可能な、QRというデジタルだからこそできる芸当です。
生産性、経費削減、作業負担軽減、と導入しない手はない一手だと考えます!
今回の学び
当たり前を疑う心を持っていないとダメですね。
あとは、実際にさまざまなサービスを実体験して情報収集する大切さです。
今回のきっかけは完全に沖縄訪問が契機でした。
アウトドア事業の予約、受付、ツアーの構造の中で、随分と改善に取り組んできましたが、こういったレガシーのままで止まってしまっているポイントがまだあるかもしれません。
じゃんじゃん改善して、作業は軽減、仕事に懸ける時間を増やすというのはどのような業界でも大切です。
さて、まだ改善できる余地があるか、そのヒントを探す旅にもスーパー繁忙期が過ぎ去った後に取り組みたいと思います。
アクティビティといえば沖縄!といった短絡的な思考で飛行機に飛び乗りましたが得るものは多かった!